2013年のIT予測(俺版)の答え合わせ

今年の元旦に以下の記事を書いた。ITと書いているが、エンタープライズシステムと捉えてもらった方が正しいと思う。この答え合わせをしよう。

2013年のIT予測(俺版)
https://www.mushagaeshi.com/2013/01/01/2013-my-it-trend/

書いたのは以下の5点であった。

  1. SI企業は大手に収斂されていく
  2. クラウドシフトが一段落するが、中小企業への導入が一層進む
  3. 企業システム開発でJava EEが息を吹き返す
  4. パーソナル市場での「ガラケー」「PC」の事實上の滅亡が起こるか
  5. 国内IT技術者のレベルは一層落ちる

1. SI企業は大手に収斂されていく

まずこの点。「SI」の動向を押さえなくなって久しいので、実際どうなっているのかはよく分からない。まあ、和製英語で日本にしか無いガラパゴス業界なので、もはやあんまり興味が無いというのも本音ではある。

ので、採用状況を見てみる。調子が悪いならば悪化しているはずだが、どうも調子は良さそうである。

日経コンピュータ 2014年春採用版 IT業界就職人気ランキング
SI の人気上昇、メーカーは苦戦
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20130318/464164/

で、決算はどうかというと・・・

NTTデータの上期決算は大幅減益、不採算案件が営業利益を250億円押し下げ
2013/10/31
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131031/515305/

NTT DATAだと『営業利益は同91.3%減』だそうで、どう考えても好調とは言えない状態のようである。ただ、富士通はテクノロジーソリューション部門が増収増益、NECは減収減益とのことで、実際の所どっちかというのは分からない。微妙だったということだろうか。

2. クラウドシフトが一段落するが、中小企業への導入が一層進む

次。クラウドだが、案の定銀の弾丸よろしく何でもござれの熱狂はどこへやら。概ねクラウドは熱狂から冷却へ完全に舵を切ったと考えても良いだろう。まあ、この予測は簡単。

機械と人間との関係が変わる—ガートナーの技術トレンド・レポートより
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36838

中小企業への導入、に関しては正確に調べようが無いのでよく分からないのではあるが、例えばiPhoneを持ってる人は使ってるiCloudなどはまあその名の通りクラウドではあるし、Windowsに組み込まれたSkyDriveもクラウドストレージではある。中小も個人も、これらを使わざるを得ない状況に段々シフトしてきていると考えても良かろう。Microsoft Officeも365でクラウド化してしまったわけだし。(日本への個人向けは何故か未導入だが)

3. 企業システム開発でJava EEが息を吹き返す

三つ目。これについても正確なところは分からない。が、今年Oracleでセミナーで喋った記事のページビューは非常に良かった、と担当の方から聞いている通り、実際流行ってるかどうかはよくわからないものの、企業の担当レベルでは気になっている、のは間違いなさそうと考えて良いだろう。

楽天とオラクルのアーキテクトが本音で語る、「Java EE 6導入を推進するうえでのポイントと導入効果」
http://builder.japan.zdnet.com/sp_oracle/weblogic_2013/35036674/

また、IT教育サービス関連の方から年末に良く聞いた話としては、Java EEのワークショップが必要に好調である、だそうだ。これはこの会社がたまたまそうなのかも知れないし、そうでないのかもしれない。

今年という範囲だと微妙かも知れないが、そろそろ本格再始動、というステージに居そうだな、という感触である。

4. パーソナル市場での「ガラケー」「PC」の事實上の滅亡が起こるか

四つ目。これは最初からだいぶ先の話、と断り書きがあったとおりである。ので、今年では無い話。滅亡という意味だとまだまだ使われてるので、2013年末の時点ではまだまだ現役。

ただ、方向性としてガラケーがスマートフォンへ、PCがスマートタブレットへのシフトは完全に方向付けられた一年だったと荒く総括しても、そんなに無茶では無さそうである。

ガラケーの滅亡は概ね誰もがそう思ってるので省略するとしても、MicrosoftのWindows 8の失敗と8.1の方向修正という混乱、及びSurfaceでのハードウェア参入で従来のハードウェアメーカーと乱闘中という状況は、どう考えても輝く未来がありそうに見えない。そのうち離散する可能性が非常に高い。

滅亡へのカウントダウンが正式に開始した、と考えて良いだろう。

5. 国内IT技術者のレベルは一層落ちる

最後。レベルの話なので評価するのは無茶すぎるのであるが(笑)、IT系技術書の刊行ペースは予想通りかなり鈍化してきているし、JavaWorldが復活するか?と思っていたIDGインタラクティブも9月に完全撤退してしまった。

勉強会に参加しよう (IDGの撤退について話あり)
http://el.jibun.atmarkit.co.jp/yokoyama/2013/09/

ピアソン桐原もピアソンから離脱して、翻訳書が全滅した。これで『人月の神話』の邦訳もC++系書籍もジエンドである。まあ、底本が古くなったのが多かったのでしょうがなくはある。原書で読みましょう。

ピアソンの技術書は書店在庫限りとの見通し。ピアソン桐原社がピアソングループ離脱で(追記あり)
http://www.publickey1.jp/blog/13/post_233.html

まあ、要するに日本語縛りのある日本IT市場は投資に適しないと世の中から判断されていると考えれば良いだろう。今までがバブルだったのかもしれない。わからん。

かといって、技術者の英語力が上がっているとも思えない。日本人は39位、全体平均512点。

TOEIC TEST World Wide Report 2012 抜粋
http://www.toeic.or.jp/library/toeic_data/toeic/pdf/data/Worldwide_2012.pdf

下記を見ると、「SE」の平均点は466点である(Listening 258点、Reading 208点)。日本人の平均より50点近く低い上に、Readingが200点程度と、「日本のIT技術者の平均層は英語の技術書に関してはほぼ読めない」と考えて良いだろう。

『TOEIC®プログラムDATA & ANALYSIS 2012』今年もまとまる
http://www.toeic.or.jp/press/2013/57.html

一応補足しておくと、TOEIC自体は別に大したことの無いテストであるし、それが高得点取れたからとて、然程凄いという話でも無く、ネイティブの小学校レベルとも言われているし、私自身もそんな程度と思うので、まあ精々そんなもんだと思って頂ければ良い。

ただ、自身の経験から言うと、せめて700点〜800点程度のスコア(Reading 350-400程度)が無いと、英語の技術書は読めない。少なくとも、そこに何が書いてあるのか、という事をすらすらと把握することは難しい。TOEICの短文で構成されているPart 7に頭を悩ませている程度でどうして難しい技術書が読めるのか、という話。まあそれでもせいぜい小学校レベルの読解力なので、やたらとややこしいことが書いてあるともうアウトである。

で、話を戻すと、日本語の書籍は減少。英語の書籍やオンラインドキュメントは多いけど読めない。新技術はどんどん登場してくる。で、どうやってこのラットイヤーを乗り切るのか?

無理でしょう。

実際のやっぱり緩やかな死を迎えつつあると考えて良さそうかなと思っている。結果が出るのは早くても数年後だろうけど、分かったときにはもう取り返しの付かない状況かなと。もう個人レベルでどうこうできる状態では無いので、熱意のある方は頑張って英語を勉強して読めるようになりましょう。(英語学習については年明けに別に書きます)

ということで、以上、ざっくりとまとめてみた。当たらずしも遠からず、という評価でいいかなと思ったが、甘いかも知れない。まあ、所詮は個人の寝言を書き散らしたBlogなので、ネタのひとつとして読み飛ばして欲しい。


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