その2の続きである。
さて、最後は使い終わったWISTAを畳む番である。要はその1の組み立てる際の逆をやれば良いだけではあるのだが、それでは面白くないので、ちょいと変わったたたみ方をお伝えしよう。レンズを付けたままの畳み方である。基本的には、レンズの前後をひっくり返してはめ、その後に畳むという一風変わった技である。
この手法は金属型のテクニカルビューカメラだといくつかの機種(Linhof Master TechnikaとWISTA45系くらいしか知らんです)で可能なのだが、必ずしも正しい使い方という訳ではない(説明書には載ってない)方法であるため、そこだけご注意頂きたい。
さて、このレンズを付けたまま畳む方法であるが、基本的には小型のレンズであれば同様にできるのではと思う。ただ、ここでは現代日本において最も入手しやすく現行品の標準画角である150mmレンズである、CM FUJINON W 150mmでの方法である。このCMシリーズは2000年前後に全面リニューアルされた極めて現代の最新型レンズであるが、リニューアルされた際に旧FUJINON WS型よりも大型化されてしまっており、ふつうに前後ひっくり返してはめ、畳むとベッドレールに当たる。当然ながらレールも金属であり、そのまま閉じると傷が付く事間違い無しである。というか物理的に閉じないのである。
そのため、レールを当たらない程度ズラし固定してから、閉じるという手法になる。我が家のWISTA45SPだとこれで百発百中で閉じるので、同機種・同レンズをお持ちの方は当たらないようにゆっくりと試してみて欲しい。これ便利です。
ちなみに、これは通常の下に数ミリオフセットされた(下付の)リンホフボードの場合である。WISTAから発売されているセンター穴あきボードの場合は、そのまま格納できると思われるので、もしお持ちの方は試してみて欲しい。ちなみに私は互換性を優先させるため持ってないのである。
まず最初。レールの二段目を後枠のレールにぴったりくっつけるため、奥まで押し込む。その後、CM FUJINON 150mmを前後ひっくり返して前枠にはめる。意外かもしれないが、フラットボードをひっくり返すだけなので当然ながらはまる。
そのあと、前枠を後枠に押し込む。ズリズリズリ〜
さて、ここからがポイント。通常だと、二段目レールを一段目と同じ位置に戻して畳むのだが、「わざと」完全に戻さずに、ちょっとだけずらして固定するのである。私が目安にしているのは、二段目レールに刻まれた黒・赤・黒・・・という目盛りの一番下の部分と、固定レバーの上にある銀色の点(たぶんネジのさきっちょ)の上の部分を一致させる事である。判りづらいかな? 斜めに傾いてる黒いレバーの上の銀色のポッチの部分である。
さて、この二段目をズラした状態で、後枠の横の固定ダイヤルを緩め、ゆっくりと閉じるのである。普通ならここでレンズの後群が二段目レールに当たるのだが、微妙にズラしているので、あら不思議、当たらないのである。まあ、念のために最初はホントに当たらないようにゆっくりと確認しながらやって欲しいのである。
閉じてしまった状態。中に150mmレンズが入ってます。これでバッグの中に150mmレンズ一本分のスペースが空いた。いつも軽量超小型バッグに押し込んでる私としては、この一本分の差はとてつもなくデカい。だってこれでさらにもう一本レンズ持って行けるんですよ奥さん!!
金属製カメラは木製のものに比べて重いのが弱点であるが、このレンズを格納できるという必殺技を持った機種は木製機種にスペースで勝てるという、あちらを立てればこちらが立たず、との面白い話である。木製カメラはみんな前枠を外すか倒すかして閉じるから、原理的にレンズをはめたままの格納は無理なのである。
念のためピントグラスを外してみたものがこれ。レンズをひっくり返して格納しているので、前玉がこんにちは状態なのである。ギリギリ数ミリの空間があるため、これでピントグラスに当たらないのである。まさに計って設計されたかのようなこの絶妙感(笑) MADE IN JAPAN萬歳。
ちなみにWISTA45シリーズは1972年頃にファーストリリースでそれ以降あんまり設計は変わってないので、2000年前後に出たCM FUJINONシリーズとのマッチングは単なる偶然である。念のため。
この格納時にレンズのキャップをはめると、何とピントグラスにキャップの先っちょが当たる。これだと振動でピントグラスを割る可能性があるので、キャップをするのは止めた方がいいだろう。ただ、レンズ交換時の安全を考慮して、キャップそのものは持って行った方が良いと思うのである。
大体のWISTA45シリーズ特有の基本的な使い方はこんなもんなので、あとはシフトとかスウィングについて、続けたもんか考えている。これ、需要あるのかな・・・
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