舞鶴公園の櫻 Velvia100Fの癖

先週初め頃の寫眞である。所謂「福岡城趾」たる舞鶴公園の櫻である。現像に出し、歸ってきて、スキャナーで取りこむとこのタイムラグである。寫眞は撮影した瞬間に常に過去を映すものであるため、一週間の間が空くことはさほど痛手ではない。むしろ撮影時の主観が抜けた頃に届く結果に對して、素直に結果を受け止める事ができるのは非常に有利であると感じている次第だ。

午前10時頃だったかであったため、色温度が高く全體的に蒼っぽい寫眞になっている。丁度八分咲きくらいであったため、この日は調子よく120のブローニーフィルムを一氣に4本も撮ってしまった。このやうなことは年に何度あるかといったところである。

ブローニーはフィルムがでかい割に價格が安く、5本パックでも2000円ちょっとで買えるため、非常にお財布にも優しく、しかも高精細で滿足度が極めて高い判だ。コダックのブローニーNo.2以來のロールフィルムの事實上の元祖とも云へるため、最後まで殘るロールフィルムは135判(ライカ判)ではなくこの120判とも云はれているのも頷ける話である。

さて私はいつも富士フイルムのPROVIA 100Fを使っているのであるが、この時は丁度PROVIAが品切れであり、嫁が氣を利かせてVelvia100Fを買ってきてくれたため、しやうがなく使ふことにした。使う段になると「さほど違はないよな」と思ひガンガン使ったのであるが、結果はこの通り。

Velviaシリーズ共通の特徴と云ふか弱點でもあるのだが、順光時の青空が異樣に暗く濃く寫る、といふのがある。Velvia100がこれの代表例でもあるのだが、Velvia50・100・100F三種のなかでも最もPROVIA寄りである100Fでここまでの典型例が出るとは思ってもみなかった。

當然ながら染料を使っているカラーフィルムの色再現にああだこうだ云ふのはどうよ、といふ意見があるのも承知してはいるのだが、ここまで異なる色を出すカラーフィルムといふのもどうよ、と突っ込みたくもなる譯である。そりゃまあ、この大げさな色を好む人が多いのも知ってはいるし、90年代に初代Velviaが出て以來大流行したといふのも知ってるものの、流石にさういふ時代でもなからう、と思ふのである。

勿論これ以外のカットはそれなりに良く撮れており、このやうな例はこの方角で撮ったもののみではあるものの、やはり高精細型カラーリバーサルフィルムの限界といふものも改めて知らしめられた次第である。

ちなみにであるが、元々はどのやうな色だったかといふと、再現は不能ではあるもののLightroom 4でいじくってそれっぽく補正してみた。

福岡の櫻は殆ど散ってしまった。花の命は短いが、其の後からは猛烈な青葉が芽吹いている。