皇后の梅(きさいのうめ)。貞明皇后が大正時代にお植えになったとの梅で、飛梅の反對側に竝んで植わっている。この時期の太宰府天満宮は梅盡しでなかなか趣があって極めて好ましい。本殿の神々しさに相まって極めて有り難く、嗚呼九州人で良かったなぁと熟々思ひ返す瞬間でもある。その場で撮影者に出来る事と云へば、有り難い光をそのまま頂き、自然現象としてそのままフィルムに感光させるのみである。それ即ち寫眞である。
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かつてはゴチャゴチャしていた參道も綺麗になっている上、梅ヶ枝餅が極めて美味であるため大宰府訪問はちょっとした樂しみのひとつである。ちなみに最近の一番人氣は「傘の屋」といふお店だったと思ふのだが、ここはカリッと焼いてあり確かに美味しい。ただ、他の店が不味いかといふとさうでもないので、私は大抵待つことなくすぐ買へる「みどり屋」を贔屓にしている。ここも同じくカリッとしている上にボリュームも多く、立ち寄るとすぐおばちゃんが渡してくれる。梅ヶ枝餅はかうでなくてはいけない。竝んで買ふものではなからう。
熊本出身の身としては太宰府天満宮の幼少時の記憶なぞ殆ど無いのではあるのだが、高校時代だったかに來たときにはもっと土煙たなびき小汚い店と梅ヶ枝餅の露天が竝ぶ一種猥雜な感触を持っていたもののである。が、時は代はり、今となってはプチ鎌倉と云はんばかりのお洒落さんゾーンと化し、森ガールのやうなお洒落さんがふらふら歩いていたりする。ここまで若者を引きつけ信仰を集める太宰府天満宮も凄いものである。
當然ながら參道でハッセルを振り回すやうな野暮はしないので寫眞は無い。所謂スナップ撮影については、私自身が撮られる事に抵抗があるため極力行はないやうにしているのだが、それはまたべつの機会に。