寝耳に水状態。富士フイルムがASTIA(アスティア)100F(RAP F)の135判(35mm判)を生産中止にするさうだ。
リバーサルフィルム・黒白フィルム 一部製品販売終了製品のご案内
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何故この時期に、といふ點はさておいたとして、まあ賣れなかったのかな、といふのは間違いなからう。
かくいふ私も35mm判のASTIA 100Fは殆ど使った事が無い。勿論何度かは使ったのだが、安めのTREBI 100Cをよく使ってた關係上、殘念ながらそんなに出番が無かった記憶がある。
ASTIA 100Fは確かVelvia 100Fと同時期に販賣開始されたかなり新しいフィルムである。舊ASTIA 100を、新素材で高耐久性を持たせ、粒状性をRMS10から7に改善したと宣傳された事は記憶に新しいのであるが、それが消えてしまうのはどうも腑に落ちない。
が、何と120判以上のフィルムはそのまま存續である。これは何故か。
實際問題として35mm判を使ふ場合、問題となるのがその粗さと小ささだ。今時の1000萬畫素級のデジカメ畫像と比較した場合、元々塗り繪であるデジカメのJPEGは「くっきりはっきり」系である。小さい畫素なので、くっきりした方が何となく良く撮れてる雰圍氣が出るのである。デジカメ自體が何となく寫眞を撮った氣にさせる、雰圍氣を愉しむシミュレーターのやうなものだろうから、その目的には叶っているだらう。
さういふ眼から見ると、ASTIA 100Fはどうもシャキッとしない「眠い」寫眞が上がってくる、なんて多分大半の方々はさう感じていて、實際賣れなかったから今回の措置、なのだらう。
デジカメに引きずられて好まれるやうになった「くっきりはっきり系」の、PROVIA 100FやVelvia 100Fの方が賣れ、その結果賣れなかったASITAは退役。消えるべくして消えるという感じだろうか。何か間違ってるやうな氣もするが、對象の日本マーケットがこのていたらくなので致し方あるまい。
(ライトボックスの上でiPhoneにて撮ったASTIA 100Fの畫像。Click to large)
だが、これがブローニーや4×5になるとあら不思議、元々のフィルム面がめちゃくちゃデカいからそんなに「くっきりはっきり」してなくても意外にいけちゃう事實に驚く。實際私自身がさうなのだが、ルーペで見る場合にも兩眼で樂に見へるし、紙に焼く・印刷する場合も最低六切り以上になるので、そんなにクッキリハッキリしてなくても全然OKである。
むしろそのサイズ以上になってくると、各所がちゃんと寫ってるか、解像してるか、潰れてないか飛んでないかの方が氣になってくる譯で、階調性が壮絶に優れているASTIAの獨壇場である。なのでHASSELBLADで撮る場合の私の標準フィルムはASTIA 100Fである。
殘念ながら4×5の方はVelvia 100Fの方が登場機會が多いのであるが、これもそのうちASTIA化しやうと思っていた矢先のこの發表である。富士フイルム側はこのやうな事をちゃんと理解してるからこそ135判のみディスコンにして、PRO160NSのやうにブローニー以上のプロフェッショナルモデルにしたのであらう。良く判っとるなぁと妙に感心する次第である。
でも35mm判を使ってた方々も居るだろうし、もっと實際の利用者は聲を上げるなり交渉するなりして存續に乘り出した方が良いと思ふ次第である。もしくはB&H等々から個人輸入するか、だらうか。