最近大型寫眞機や銀塩關係の書籍を漁っておりましたが、珍しいものを見つけてしまいました。寫眞工業の1960年3月號です。大型寫眞機特集でした。
紙質は劣惡ですが折り目もなく極めて良い狀態でした。これは奇蹟。表紙は發賣になったばかりのホースマン。
スピードグラフィック(スピグラ)の記事です。ううむ、これは格好いい。最終型のTOYOスーパーグラフィック欲しいっす。
とにかく大型カメラが澤山載ってます。まだ國産の大型カメラはあまり無いやうで、寂しい限りです。
4×5のフィルムの現像について色々書いてあります。これは勉強になるなぁ。
レンズやらロールフィルムバックやら三脚やら、てんこ盛りの情報です。これは素晴らしい。他にも流行りだしたばかりの8ミリカメラについても特集がありました。8ミリもいいなぁ。垂涎止まりません。
寫眞工業といふ雜誌は先日休刊してしまいましたが、休刊直前は何となく詰まらないと感じる記事が多く、私はどちらかといふと苦手でした。が、この1960年號を讀んでみてびっくり。素晴らしい内容のオンパレードで、これから伸びるであらう寫眞界隈の熱意を感じます。國内メーカーの廣告も多數掲載されていますが、決して媚びる事は無く、ズバズバ書いてあるし、もっとここはかうしたら良い、かうすべきだ、といふ内容も多くありました。この中で當時存在しなかった6×7判についても4×5判と同比率だからどうだらう、と提案してある記事もあり、まさに目から鱗。
このやうな骨太の記事が最近のカメラ雜誌にはとんと覧られなくなり、デジタルカメラを效率的に賣る爲の提燈記事に墮してしまいました。最近定期購入する雑誌は「風景寫眞」、たまに「コマーシャルフォト」くらいですが、これらについてもデジタル汚染が進行していて、後者は一體何の雜誌なのか不明なくらいCG+ムービー制作誌となってしまっていて殘念です。これらも過去のものの方が遙かに面白い記事を提供していました。特に「風景寫眞」については季刊だった頃〜月刊化した一年目(前田眞三氏が健在だった頃)のものが大變面白く、大型寫眞機を使って風景を撮るといふ、至極眞っ當な王道のテクニックについて多く記事が割かれていたりと、私の就寢前の愛讀書ともなっております。
このやうな眞面目な雜誌の復活を願って止みません。が、ここまで寫眞文化が劣化してしまうと、どだい無理な話なのでせうね。Webで海外からも情報がリアルタイムに交換できる時代ですので、そちらの方で今後はLarge-Format(大判)な寫眞について議論がされていくのでせう。でも、やはり情報の正確さや網羅性、保存性を考へた場合、紙の本といふのも貴重なもんではあります。
コメント
“寫眞工業 1960年3月號入手 大型寫眞機特集號” への3件のフィードバック
大変興味深く拝見しました。その古い写真工業誌は見てみたいものです。
まったくおっしゃる通り、今時のカメラ雑誌はほんとうにくだらなくて、最近は立ち読みすらしなくなってきました。
欧米の写真文化はネットでかいま見る事が出来ますが、やはり素晴らしく、日本のそれは小学生レベルかっと思ってしまいます。
>arataさん
どうも有り難うございます。実はもう一冊面白い本が届いたんで、帰宅してからそちらも載せてみます。
最近はLarge format Photography forumとかPhoto.net辺りを中心に捜し物をしています。これが日本だとどうも寒い状況ではありますね。大判における言語人口・比率を考えればこんなもんなんでしょうが・・・
[…] 前回の記事の直後に入手できましたのでついでに紹介しておきます。これは1972年刊の大型寫眞機ムックです。寫眞工業の別冊になっています。極めて珍しい本ではないかと思ひます。 […]