大型寫眞機入手の話はちと閑話休題。書いておくべき話があったのでそちらを優先します。
大判寫眞を始めるに当たっては、周辺に玄人が存在することが最も望ましくあります。もしくは、私のやうに日本大判寫眞塾の方にご厄介になるとか。さういふ恵まれた環境にない場合や、自分で独学する場合にはやはり頼りになるのは書籍。私の方では三冊程買いましたので、その話を入れておきます。
『大判写真入門』
(玉田勇著、写真工業出版社、1993年)
ヨドバシカメラ新宿本店で購入。2007年改訂第7刷。日本大判寫眞塾の講師をされている玉田氏の著作。私の先生です。機材系の情報は既に古く、敢えて参考情報として残してあるさうです(巻末に記載)。
が、網羅性を考慮すれば、依然として本書籍を超へるものは無いのではないかと思います。まず一冊何か參考になるものを、といふ場合、本書を薦めざるを得ない、といふのが現状ではないかと思ひます。何度も讀み返しても、色々と詳しく解説してあり、字数が多い爲飽きません。
カラー寫眞は冒頭の数十頁のみですが、玉田先生の大判寫眞らしい風光明媚な風景が楽しめます。残りがほぼ全てモノクロの頁なので、ある意味玄人受けしそうな構成であります。
『大判カメラマニュアル』
(木戸嘉一著、ワイズクリエイト、2008年)
近くを探しても無かったのでAmazon.co.jpで購入。2008年初版。文京區本郷でワイズクリエイトといふ大判寫眞機専門店(!)を營まれている方の著作。三冊中最新です。全ページカラー。寫眞も綺麗です。
本書の特筆すべきは、煽り(アオリ)操作を圖入りで懇切丁寧に解説してある點でせうか。煽りの光學原理である、シャインフリュークについて何度も何度も繰り返し解説してあります。相當勉強になります。ただ、寫眞機を實際に持ってないと何のこっちゃ判らないので、最初の一冊にはあまり適當ではないかも。
圖中で使ってあるのがリンホフのマスターテヒニカ(多分2000辺り)のやうです。マスターテヒニカの説明書代わりに讀まれる場合、大變便利かと思ひます。ただ、「作品」系の風光明媚な寫眞はあまり多くないので、綺麗な寫眞を求めるのには向いてないかと。表題通り「大判寫眞」ではなく、「大判カメラ」(大型寫眞機)の書籍に特化してあります。
『大判カメラバイブル』
(日本カメラ社、2005年)
中野區のフジヤカメラジャンク館で偶然見つけて購入(ジャンクじゃなくて新品です念のため)。2007年重版。日本カメラらしく、初心者をその氣にさせるのには本書が最も優れているのではと思ひます。モノクロとカラーと半々。ちょっと薄め。
本書はどちらかといふと「バイブル」と書いてある割には全然詳しくないので、看板倒れな感じもあります。が、「作品」の寫眞は多く、「あゝ、大判寫眞っていいなぁ」と、眺めて幸せになれる系の「氣軽な讀み物」と割り切れば良いと思ひます。
なのでウルトラ初心者向けの書籍であります。これから勉強しようといふ向きには情報がちょっと少なくて不適當です。
・・・とまあ、世の入門書の常識に習ひ、これ一冊買えば万事OK、といふものは無いのが事實です。大判寫眞を始められやうとする方は、いっそ三冊買われた方がよろしいかと思ひます(^^;;;